里親委託の状況
里親とは実親家庭で養育できない子どもを養育する、いわゆる社会的親のことです。
社会的養護の現状について(参考資料 平成27年7月)では、里親委託の状況が報告されています。
■里親:家庭における養育を里親に委託
区分(重複登録あり) | 登録里親数 | 委託里親数 | 委託児童数 |
---|---|---|---|
養育里親 | 7,489人 | 2,840人 | 3,526人 |
専門里親 | 652人 | 157人 | 209人 |
親族里親 | 477人 | 460人 | 674人 |
養子希望里親 | 2,706人 | 223人 | 227人 |
計 | 9,441人 | 3,560人 | 4,636人 |
■ファミリーホーム:養育者の住居において家庭養護を行う(定員5~6名)
- ホーム数:223か所
- 委託児童数:993人
里親委託が進まない背景
里親制度の意義は、「家庭での養育に欠ける児童等に、その人格の完全かつ調和のとれた発達のための温かい愛情と正しい理解をもった家庭を与えることにより、愛着関係の形成など児童の健全な育成を図るものであること。」とされています。
里親委託がなかなか推し進まないのは、児童の問題の複雑化や里親の希望(性別、年齢、養子可能性など)と合わないなど、受け入れる里親側にも問題がありますが、一番大きいのは、里親委託に対する実親の同意を得ることが難しい点にあります。
施設なら同意するが里親委託の場合同意しないということは、里親委託と養子縁組を混同してしまっていたり、里親になついてしまったら困る、など里親制度への理解不足があるようです。
里親制度と養子縁組制度の違い
里親制度も養子縁組制度も子どもたちの福祉にとって大切な役割を担う制度です。
家庭で育つことができない子どもを自らの家庭において養育するという点ではおなじですが、社会的親として養育する里親と、養子縁組して養子として育てる養親は全く違います。
里親制度は児童福祉法に規定される子どものための制度として、養子縁組制度は法律的に”親子関係を成立させる”民法上の制度として、それぞれの考え方に基づく別の制度です。
里親が養育する子どもは、都道府県知事から養育の委託を受けた児童で、法律的な親子関係は存在しないのが、養子縁組とは大きく違うところです。
- ■里親制度では、実際の親子関係は発生しません。
- ■実親の戸籍に入ったままなので、実親との親子関係は継続し苗字も変更されません。
- ■里子は18歳(延長の場合は20歳※)で養育措置は解除されるので、その後は実親の元に帰るか>自立します。18歳までに実親が養育可能になった場合は、実親のところに戻ります。
- ■里親には里親手当、養育費などがが支給されます。
- ■また、児童は医療費などの実費、学校の授業料の免除などの援助が受けられます。
養子縁組には「普通養子縁組」と「特別養子縁組」があります。
- ■「特別養子縁組」は、養親となる者の請求により、実父母及びその血族との親族関係が終了する養親子関係をいいます。新たに養親の戸籍に、実子として掲載されます。
- ■「普通養子縁組」は養親と養子の当事者間の契約で成立する養親子関係(ただし、未成年者を養子にする場合は家庭裁判所の許可が必要)実父母及びその血族との親族関係は終了しません。
※18歳の措置延長制度について
児童福祉法において、児童は18歳未満と定義されていますが、児童福祉施設や里親については必要な場合には20歳未満まで措置延長できることとされています。
実際は18歳の年度末(高校卒業時点)で、就職または進学などにより児童養護施設を退所するケースが多く、19歳で退所する児童は一割以下となっています。
参照:「社会的養護の現状について(参考資料)」(厚生労働省)
「子どもの虐待防止・法的実務マニュアル」(日本弁護士連合会子どもの権利委員会)
記事はお役にたてましたか?
記事にご興味をもっていただけましたら、
↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓以下のソーシャルボタンで共有していただくと嬉しいです^^